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 顎関節症



 顎関節症とは顎の関節もしくはその周辺の筋肉などの組織の異状による疾患です。なぜ、このようにあいまいに書くかというと顎関節症は症状により分類された疾患ではなく、治療方法によりまとめられた疾患の総称だからです。


顎関節症の定義(日本顎関節学会)
 顎関節や咀嚼筋の疼痛、関節(雑)音、開口障害ないし顎運動異常を主要症候とする慢性疾患群の総括的診断名であり、その病態には咀嚼筋障害、関節包・靱帯障害、関節円盤障害、変形性関節症などが含まれている
              顎関節症



顎関節
 顎関節は上顎骨の顎関節窩、下顎骨の下顎頭とその間にある関節円板などからできています。
     顎関節閉口時   顎関節開口時




 顎関節症の症状



顎関節症の症状には次のようなものがあります


1 顎が痛い
 顎を開けたり、閉めたりするときに顎関節を動かす筋肉が痛みます。


2 開口障害
 口が開かなくなる、もしくはあきづらくなることです。正常では、口は指3本(40〜50mm)あきます。


3 関節雑音
 口を開けたりした時に「カクンカクン」「ジャリジャリ」、といった音が聞こえる。これは顎関節がスムーズに動かない人によく起こります。この段階では、まだ治療の必要は少ないです。


4 かみ合わせ、顎の動きの変化
 かみ合わせや、顎の動きが変わってきます。


5 その他の症状
 頭痛、肩こり、腰痛など顎の歪みにより、全身に影響が出ます。




 顎関節症のタイプ



顎関節症のタイプはその障害のある部分によっていくつかに分けられています。(日本顎関節学会による)


1 筋肉の障害によって起こるタイプ(T型)
 筋肉が何らかの原因で緊張して硬くなり血液の循環が悪くなるために痛みを生じます。 咬筋、側頭筋、内側翼突筋、外側翼突筋からなる咀嚼筋を中心に痛むので頬やこめかみのあたりが痛みます。頭部、首、肩など離れたところに関連痛という痛みが起こることもあります。


2 関節包・靱帯の障害によって起こるタイプ(U型)
 顎関節の関節包や靱帯などの線維組織に力が加わって捻挫を起したようになり痛みが生じます。関節包炎、滑膜炎などを起し、あごを動かしたり、顎関節部を押したりすると痛みます。


3 関節円板の障害によって起こるタイプ(V型)
 関節円板が本来の位置から前にずれたままになってしまう状態のことで「関節円板前方転位」といいます。
            関節円板前方転移


復位を伴うもの(関節円板が前方転移と復位を繰り返す) (Va)
 関節円板前方転移により開口時、関節円板に下顎頭が引っかかり「カクン」と音がなります。下顎頭や関節円板が磨り減って生きます。痛みなどの症状はほとんど無く、経過観察になることが多いですが、油断していると、口が開かなくなったりします(Vbに移行)。


復位を伴わないもの(関節円板が前方転移したまま) (Vb)
 関節円板により下顎頭が前方に移動できなくなり、口が開かなくなります。口を動かさないため、筋肉が硬くなり、筋通を併発することもあります。


4 変形性関節症によって起こるタイプ(W型)
 顎関節の変形により起こります。骨の磨耗や加骨などが原因です。口を開け閉めすると「ジャリジャリ」などといった音がすることがあります。


5 その他(X型)
 I〜IV型のいずれにも該当しないが、顎関節領域に異常症状を訴える場合。 


T〜W型の併発
 顎関節症のタイプはこのように5つに分けられていますが、実際には「筋肉の障害によるタイプ」と 「関節円板の障害によるタイプ」といったように、複数のタイプにまたがっていることが多いです。




 顎関節症の原因



1 ブラキシズム、くいしばり
 ブラキシズム(歯ぎしり)やくいしばりは筋肉を緊張させて顎関節に過度の負担をかけます。最も大きな原因と言われてます。


2 歯の長期接触
 上下の歯が長時間当たっている人はその強さにかかわらず、筋肉に緊張が起こり顎関節が痛くなります。


3 ストレス
 ストレスは、筋肉を緊張させ、筋肉に負担をかけます、また、ブラキシズムやくいしばりの原因にもなります。


4 悪習慣 
・偏咀嚼 片側だけで食べる癖
・うつ伏せ寝   
・頬杖をつく癖   
・あごの下に電話をはさむ


5 その他   
・悪い咬みあわせ   
・外傷




 顎関節症の治療法


スプリント療法
 スプリントという歯を覆うマウスピースのようなものを装着することで顎関節や筋肉への負担を軽くして歯ぎしりや食いしばりの害を緩和し,顎関節を本来の位置に修正します。


薬物療法
 痛み止め、炎症を抑える薬を用います。炎症を抑えることでアゴの負担を低下させます。


マッサージ、ストレッチ
 筋肉をマッサージ、ストレッチすることでコリをとり、痛みを除きます。


マニピュレーション法,開口練習
 開口障害がある時、顎関節を適切な位置に引っ張って移動させる方法をマニピュレーション法といいます。また、筋肉が硬くなり開口障害が起こっている場合、口を開ける練習も行います。


高周波治療
 高周波により筋肉をリラックスさせ、痛みを取り除きます。


生活習慣改善指導
 顎関節症の原因と考えられる悪習癖を改善するように指導します。悪習癖が直らないと顎関節症の症状は改善しません。


外科的処置
 その他の治療で症状が改善されない場合には外科的処置が行われる場合もあります。関節内に強い炎症がある場合に針をさして関節内部の物質を洗い流す「関節腔内洗浄療法」、関節内で関節円板と骨の癒着がある場合にそれをはがす「関節鏡手術」などがあります。(小川歯科医院では行っていないため大学病院などに紹介します)


 他科、他医院への紹介


 顎関節部の痛みは顎関節症以外にも多数の疾患が原因として考えられる場合があります。そのため、整形外科、耳鼻科、ペインクリニックなどでの治療を勧める場合もあります。




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